3.非上場株式の株価算定の基本的考え方
非上場株式の株価算定については、種々の算定方式が考えられています。そしてこれらのいずれの方式を用いるかは、評価対象会社の性格如何によるべきであるとされています(「主体的価格論」)。「主体的価格論」に基づく場合、対象株式の性質はどのような性質によって検討されるかは、株式評価の局面とその評価を要求する法律の解釈によるべきであります。
4.出口対策別の自社株評価
(1)同族後継者への承継
● 株価評価の仕方・考え方(普通株式の場合)
同族後継者への承継の場合、当事者間で決定する株価に客観性がないため、相続税法等税法(財産評価基本通達)で定められた評価方法によって算定された株価を用います。
財産評価基本通達で定められた評価方法は下記のとおりであり、自社株を承継する人が同族株主等に該当する場合は原則的評価方式(会社規模によってそれぞれの原則的評価方式の併用割合が異なります)、同族株主等に該当しない場合には、特例的評価方式である配当還元方式で評価します。
<具体的な計算式>
・ 類似業種比準価額方式(原則的評価方式)
A × (b/B + c/C×3 + d/D)÷ 5 × 斟酌率
斟酌率:大会社は0.7、中会社は0.6、小会社は0.5
A:類似業種の株価
B:課税時期の属する年の1株当たりの配当金額
C:課税時期の属する年の1株当たりの年利益金額
D:課税時期の属する年の1株当たりの純資産価額(帳簿価額)
b:評価会社の直前期末における1株当たりの配当金額
c:評価会社の直前期末以前1年間における1株当たりの利益金額
d:評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額(帳簿価額)
・ 純資産価額方式(原則的評価方式)
{(課税時期の純資産価額(相続税評価額))−(課税時期の負債金額の合計額)−(評価差額に対する法人税額等相当額(注))}÷(課税時期における発行済株式数)
(注)評価差額に対する法人税額等相当額とは、相続税評価額による純資産価額と帳簿価額による純資産価額相当額との差額に42%を乗じた金額を言います。
・ 配当還元方式(特例的評価方式)
(その株式に係る年配当金額(注)÷10%)×(その株式の1株当たりの資本金の額÷50円)
(注)無配または5分配当未満の場合には、年間5分配当とします。
●(参考)株価引下げ対策(節税対策)
@ 類似業種比準価額の引き下げ
・ 配当の引き下げ
配当を減らす、または止める。
特別配当や記念配当を出す(これら毎期継続することが予想できないものは、算定式に含まれないため)。
・ 利益の引き下げ(圧縮)
含み損(棚卸資産、固定資産、有価証券)の実現
減価償却方法の変更(定額法から定率法へ)
役員退職金の支給
損金性の高い保険商品への加入
役員報酬の増額
不良債権の処理
・ 高収益部門の分社化
A 純資産価額の引き下げ
・ 役員退職金の支払
・ 借入金による賃貸物件の建設
・ 合併・会社分割の活用
・ 会社区分の変更
一般に、純資産価額方式の株価は、類似業種比準価額方式による株価より高くなる傾向がある。そこで、類似業種比準価額方式が適用されるように会社区分を変更する。
【注意】 ただし、上記のような行為で節税以外に目的が無いような場合には否認されるものと思われます。いくら中小企業の事業承継の中心課題が節税目的だとしても本来の目的は事業承継であることを忘れてはなりません。


